ICLを受けた眼科医にお話を伺いました(第3弾)

インタビュー | 2019.03.28

シリーズ第3弾として、三重県伊勢市でご開業されている亀谷先生にお話を伺ってきました。亀谷先生のご家系には地元・三重県で活躍されていたお医者さまも多く、先生ご自身も出身地である伊勢市での地域医療に貢献したいと熱心に語られていました。最先端の医療を取り入れつつ患者さんに優しい医療を目指しておられる亀谷先生に、ICL体験談を楽しくお話頂きました。

1. 院長先生がICL手術を受けたきっかけ、時期は?

私は若いころから近視で、コンタクトレンズも高校生くらいの時から装用していました。コンタクトレンズはハードもソフトもいろいろ試してきましたね。新しいコンタクトレンズが発売されると、必ず自分自身の眼に装用してみて装用感や見え方などを自分なりに体験するようにしていました。そうすることで患者さんにコンタクトレンズについてお話する際、患者さんにはより納得した説明ができたと思います。
最初はコンタクトレンズで問題なかったのですが、仕事をしていくうちにドライアイに悩まされるようになってきました。外来診療での細隙灯顕微鏡や、手術中に手術顕微鏡を覗いている時に、しばしばコンタクトレンズが乾くような違和感を持つことがあって、そういう時には見え方も悪くなったりしますので、屈折矯正手術に興味を持つようになりました。
それで屈折矯正手術の検討のために様々な文献をいろいろと読んでみました。私の近視度数は約-7DでしたのでLASIKだと適応ギリギリだし、屈折の戻りや術後のドライアイも避けたいし・・・ということで「ICL」にたどり着きました。2013年5月に私は出身地である当地で開業したのですが、それまでは名古屋市内で勤務医をしていました。ICL手術を受けるなら開業前に、と考えていたところ、名古屋大学眼科の同期の医師が中村友昭先生(名古屋アイクリニック)にLASIK手術を受け、良好な結果だったことから、ICL手術を受けるなら中村先生にお願いしようと思い、同期の彼に紹介してもらい名古屋アイクリニックを受診しました。術後すぐの診察や手術は避けたかったので連休前の2012年4月28日に手術を受けました。土曜日も手術日で、翌日の日曜日も診察をしてもらったのでとても助かりました。

2. ICL手術とは、どのようなものでしたか?

 私が手術を受けた2012年当時のICLは現在のモデルと違って、光学部中心に孔がないタイプでした。ですから術前にレーザーで虹彩切開を行わなければなりません。茶目(虹彩)の上部にレーザーで小さな「孔」を開けるわけです。虹彩切開の後、意識していると虹彩に開けられた「孔」からの光を感じることがありましたが、ICLを挿入してからは不思議に消えましたね。現在もほとんど感じることはありませんが、虹彩切開を受ける患者さんの気持ちを改めて良く理解できたと思います。
なお現在のICLはこの虹彩切開が不要となっていますから、レーザーのための受診機会も減るし、眼組織への侵襲もなくなったことは非常に良いことだと思っています。
 虹彩切開後に同日に両眼ICL手術を受けました。手術室に入り点眼麻酔の後、目を消毒してもらいドレープを被せられ、開瞼器を装着され・・・、手術顕微鏡の光は予想どおりやっぱり眩しかったです(笑)。改めて「患者さんって術中はこういう感じなんだ・・・」と考えているうちに、手術はあっと言う間に終わりました。10分間も掛からなかったと思います。少し休憩後、反対の目も同様に手術を受けました。名古屋アイクリニックからの帰宅時には「世界が変わった」大感動がありました。

3. ご自身がお考えになるICLの適応となる患者さんは?

 やはり角膜を削らないということがICLの最大の特徴であり、万一の時には元に戻せるという可逆性もLASIKにはないメリットです。またLASIKの適応とならない強度近視眼や角膜厚の薄い患者さんでもICLでの矯正は可能ですし、術後のドライアイの心配もありません。したがって問題となる既往歴や合併症がない限りICLはほとんどの近視及び近視性乱視に有用ではないか、と思います。
なお当地での人口構成としては高齢者が多いので、私のクリニックでも白内障や緑内障、眼底疾患などの患者さんが圧倒的に多数を占めており、現時点ではICLを導入していません(通常のコンタクトレンズ及びオルソケラトロジーの処方は行っています)。患者さんから屈折矯正手術の相談を受けた場合は、自分自身の体験も話して、名古屋アイクリニックを紹介しています。

4. ご自身がお考えになるレーシックと比較したICLのメリットは?

 前述したように、角膜を削らない、元に戻せる、矯正の制限がほぼない、ドライアイのリスクが少ない、ということでしょうね。中村先生らも報告されているように、視力の質も良く、LASIKのような戻りがないということもICLのメリットだと思います。

5. ご自身が手術中にお気づきになったこと、術中・術後の痛みの有無や程度は?

 眼内に挿入されたICLを虹彩下に整復する際、スパーテルなどの専用器具を用いますが、この時、器具が虹彩に触れるのが分かりました。一瞬、「うっ」という気持ち悪さがしましたが、他には痛みは感じませんでした。あと前述したように手術顕微鏡の光は眩しかったです。
 術後は「目を手術してもらった」という感覚はありましたが、特段の痛みはありません。なお鎮痛剤を処方して頂き、その場で服用の上、ウルトラマンセブンのような眼帯をして、タクシーで帰宅し、特に問題はありませんでした。

6. 術後のグレア・ハローなど不快症状の有無や程度は?

 例えば夜間にクルマを運転している時など、信号機などの点光源の周囲に光曇が見えたり、光が流れるということは意識すると多少は見えます。しかし幸い自身が眼科医で「こういうものがある」ということを原理的にも臨床的にも知っていますし、それに生活上、不便になる程のものではありませんので問題はありません。

7. 手術された満足度は?

 100%です(笑)。中村先生、手術して頂いて本当にありがとうございました。

8. 屈折矯正手術を検討されている患者さまへのアドバイスがあればお願いします。

屈折矯正手術によって「裸眼でちゃんと見える」という状態になることは、患者さんにとって本当に大きな喜びです(自分自身の経験からも)。現代では様々な手段で情報を入手することができるようになっていますので、患者さん自身も屈折矯正手術の概要や適応、リスクを充分に検討して頂いた上で、眼科専門医にご相談されることがベストではないかなと思っています。
私は患者さんから屈折矯正手術について相談を受けた際、LASIK、SMILE、ICLなど最近の術式についてお話し、それぞれの適応やリスクについて説明しています。そして、信頼できる術者(中村先生)をお勧めしています。
お忙しいところ長時間にわたりインタビューのお時間を頂戴しまして、大変にありがとうございました。

2019年3月14日インタビュー

伊勢かめや眼科亀谷 崇 先生

 1999年 名古屋大学医学部卒業
 2000年 名古屋大学医学部 眼科入局
 2000年 名鉄病院
 2005年 名古屋記念病院
 2013年 伊勢かめや眼科 開業

【資格・所属など】
日本眼科学会認定専門医
日本眼科学会 会員
日本白内障屈折矯正手術学会 会員
日本緑内障学会 会員
日本眼感染症学会 会員
トラベクトーム研究会 会員

伊勢かめや眼科