ICLを受けた眼科医にお話を伺いました(第2弾)

インタビュー | 2018.10.10

シリーズ第2弾として、北里大学病院眼科の高橋正英先生にお話を伺ってきました。高橋先生は入局10年目で、角膜及び角膜疾患、屈折矯正を専門とされている新進気鋭の眼科専門医です。ダイビングやゴルフなどスポーツにも活動的に取り組まれている高橋先生のICLライフを楽しく語って頂きました。

Q1.高橋先生とICLの「出会い」を教えて頂けますか?

私は2013年に北里大学病院から出向という形で港区赤坂の山王病院へ赴任し、そこで初めてICLとその手術を受けた患者さんたちと触れあいました。港区赤坂という山王病院の立地・地域性と申しましょうか、それまで勤務していた大学病院(神奈川県相模原市)に比べ、屈折矯正手術を受けたいという希望する患者数が予想以上に多かったのに驚いたことを覚えています。子供から大人まで、整容面や生活の不便さなど様々な理由で眼鏡やコンタクトレンズから解放されたいという願望が強い患者さんたちと日々の外来で出会いました。

その頃の自分は「屈折矯正」という分野に高い敷居を感じ、お恥ずかしいことにICLの存在自体を知らない眼科医でした。山王病院では当時、医長であった小松真理先生(現:医の森クリニック浅草橋)と、北里大学から来られていた清水公也 教授(現:山王病院アイセンター センター長/国際医療福祉大学 病院教授)の元で、一から屈折矯正手術の適応・手順・術後管理まで勉強させて頂きました。苦労した記憶があるのは手術に用いるICLの準備、手配でした。患者さんごとのデータ入力、レンズ度数計算、サイズ選択、発注、会計処理などの慣れない作業を見よう見まねで四苦八苦しながら行ったことを覚えております。個人輸入のICLを発注する際に、製造元のSTAAR Surgical社(米国)とのやりとりが上手くできず、手元に届くまでに半年を要したこともありました、、、。

そんな苦労を経て届いたICLでしたが、いざ手術となってみると、ものの15分程度で手術は終了、術直後から裸眼視力も良好、長期的にも術後のトラブルはほぼ起こらないものですから、ICL術後の外来診療は比較的気楽に行うことができました。当時は(現在使用されているEVO+ではなく)V4から孔開きレンズであるV4cへの切り替え後でもありましたから、術前の虹彩切開の負担や気苦労もなく、なおさらであったのだと思います。

赴任後1年が過ぎた頃でしょうか、清水教授へ前日のICL手術を行った患者さんの報告をしていた時でした。

教授:「どうだ、〇〇さんの経過は?」

私 :「両眼とも1.5でした、特に経過は問題ありませんでした。」

教授:「そうか。」

私 :「とても喜んでらっしゃいました。ICL、とても良いですね。」

教授:「そうだろう、君も眼鏡を掛けているけどICL手術を受けてみないか?」

私 :「やりたいです。」

このような短いやりとりだったと思います。私はクルマの運転や手術のモニターを見る以外、特に裸眼でも不自由ない程度の軽度近視でしたが(当時、診察させて頂いていた「意識高めな患者さんたち」に触発されたのかもしれません)、清水先生の数々の芸術的な手術と、術後の患者さんたちの明るい顔をたくさん見ていた私にとって特に迷いはありませんでした。診察時に曇ってしまうことで眼鏡には不便さを感じていましたし、大学病院でコンタクトレンズによる角膜潰瘍により長期入院している患者さんを診ていて、コンタクトレンズも恐いなと思っていたので、コンタクトレンズを使わずに済むならとICL手術を受けることにしました。

Q2.手術を受けた時期は?

2014年6月30日です。丸4年が経過しましたが、つい先日の検診でも結果は良好でした。

Q3.術中はどんなお気持ちだったでしょうか? 痛みなどはありましたか?

自身の手術ビデオをたまに見返しますが、緊張のためか眼球は常に上転していました(清水教授、ゴメンナサイ^^;)。教授はそんな劣悪な状態をモノともせず、スムーズに手術して頂きました。むしろ普段より優しく(?)術中に声を掛けて頂き、とても安心感が得られたことを覚えています。術中、術者からの声掛けは患者さんの安心のために非常に大切なことだと痛感させられました。以下、術中に痛かった場面を「痛かった順」に記します。

  1. 縮瞳時(手術の最終処置) ※ 縮瞳とは:散瞳(手術のために瞳を薬で大きく開くこと)させた瞳を薬剤で閉じさせること
  2. 手術の最後に縮瞳させるため薬液(オビソート)をワンショット眼内へ注入します。注入されるとき声掛けして頂いて、前もって身構えてましたが思わず「ウッ!」と叫んでしまいました(T_T)。「傷口に醤油」とは良く言ったものです^^;。
  3. 術野消毒(術前)
  4. 点眼麻酔は充分に効いていましたが、12倍希釈のイソジンはとってもシミました(T_T)。
  5. マニピュレータ(フック)によるICLの整復
  6. ICLを後房(虹彩の後面側)へ位置させる操作(術後、ビデオで確認)で、チクチクとした感覚を片眼あたり4回感じました。おそらく器具(マニピュレータ)が虹彩に触れている痛みだったと思います。

良く白内障手術を受けた患者さんに「術中、何か見えましたか?」と尋ねると、「とってもきれいな色彩が見えてました。」とおっしゃってましたがあれは本当でした^^。眼内を灌流されている時は特にきれいな色彩で、万華鏡の如く瞬間ごとに変化する色合いが印象的でした。

Q4.術後直後ないし術後短期的な中でお気付きになったことは?

術直後、気になったのはやはり「光の輪」です。当然その存在を知っていましたが、手術当日から見えました。これまで見えていなかったものが見える、というのはとても戸惑うものだと感じました。特に夜間、高速道路でクルマを運転している時などは、毎秒ごとに複数の『輪っか』がこちらに迫ってくるものですから「この『輪っか』と一生付き合っていけるのか?」と若干の不安にも囚われましたが、術後1週目をピークに気にならなくなってきました。術後4年が経過した現在でも街灯や電球の光に対して『輪っか』が出現しますが、すっかり馴染んでくれてます。この「慣れの期間」は個人のキャラクターにもよると思います。

Q5.現在の状況、満足度はいかがですか?

満足度はもちろん100点です!

診察室で視界が曇って見えないこともなくなりましたし、手術の翌月からはダイビングをしました。以前に海中でコンタクトが外れた時には恐怖を感じたことがありましたが、その不安はなくなりました。ゴルフもスコアは伸びてませんが(笑)、良く見えるのでロストボールが少しだけ減った気がします^^。自分としては眼鏡やコンタクトレンズの使用経験に加えて屈折矯正手術も受けたわけですから、自身の診療の幅も広がった気がします。実体験をもとに手術の話ができるので、それだけでも大きな価値が得られたと感じています。普段接する患者さんたちと同じ視点で手術を受けたことは貴重な経験となりました。「医師にとって最高の教科書は患者さんである」という清水教授の教えを痛感させられました。

Q6.不快症状などはありますか?

光の輪も慣れましたので不快な点は特にありません。強いて言えば、なんとなく目が疲れるのでスマホで動画を見なくなりました。軽度近視もやはり便利だったんだな、とも思える一面です。

Q7.屈折矯正手術を検討中の患者さんにアドバイスやメッセージをお願いします

私自身ICL手術を受けて強く思うのは、やはり眼鏡やコンタクトレンズから解放されることは「快適」の一言に尽きます。若いうちに手術を受けたほうがそれだけ快適な期間が長く続くわけですから、「現在、近視が進行中」という方でなければ、早期に手術を検討する価値はあると思います。私は26歳から眼鏡が必要になり31歳で手術を受けましたが、眼鏡を装用していた当時の5年間を写真で振り返ると少し残念な気持ちになります(T_T)。と言うのも、やはり眼鏡は若干老け込んで見えますので、術後のほうが若返った印象があります(笑)。もう少し早く受ければ良かったと思います^^。

ICLを含む屈折矯正手術では、近視を矯正できたとしても調節力が低下してくる年齢(40代以降)になると手元の見えにくさ(=老眼)を感じてしまう一面もあるため、最も適応となる年齢は20代~30代ではないかと考えています。ですが近年では40代以降の老視世代にもICLの適応は拡大してきています。ICLはただ遠くを見やすくするだけではなく、左右眼に屈折差を設けて明視域を拡大するモノビジョン法や、あえてわずかな近視を残し意図的な低矯正とする方法など、老眼を感じにくくする矯正法として使用できるツールでもあります。もし屈折矯正手術を検討される患者さんの中で「自分は年齢的にもう対象でない」と考えているかたも、まずは一度ICL認定医にご相談頂くのが良いと思います。きっとご自身の年齢や近視の程度に応じた適切なアドバイスをもらえるはずです。

ICL手術は少し痛いですが(笑)、想像以上に早く終わります。手術翌日以降の見え方は快適ですし、何より眼鏡が外れると表情が明るくなり、そして少し若く見られます^^(駆け出し眼科医のころ、その意味では眼鏡にずいぶん助けられましたが・・・(^^)/)。これが私のICL手術に対する印象です。みなさんのご参考になれば幸いです。

お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。

インタビュー:2018年7月27日

北里大学病院眼科高橋 正英 先生

2009年 北里大学医学部卒
2011年 北里大学眼科学教室 入局
2013年 山王病院 眼科(出向)
2016年 北里大学病院勤務~
【資格・所属など】
日本眼科学会 専門医
日本眼科学会 会員
日本白内障屈折矯正手術学会 会員
ICL認定医

北里大学病院眼科